心に刺さる大人の絵本「100万回生きたねこ」

こんにちは、えほんだいすきの胡桃丸です。

みなさんは、心に残っている絵本はありますか?

みなさんそれぞれ、絵本にまつわるやさしい思い出をお持ちだと思います。

幼い頃、お母さんの膝の上で読んでもらった絵本。

夜、お布団の中でお母さんが読んでくれた絵本。

同じお話を何度読んでもらっても、お話の先が気になってワクワクドキドキしましたよね。

お母さん、お父さんになって、お子さんに読み聞かせをしている方もたくさんいらっしゃると思います。

わたしにも母のあたたかな記憶とともに思い出す絵本があります。

ですが、不思議なことに一番わたしの心に残っている絵本は、小学校1年生の時に学校の図書室で床に膝をつきながら読んだ「100万回生きたねこ」という絵本です。

小学1年生で読んだ絵本ですが、絵の感じも作者の名前もずっと覚えていました。

今日は、わたしの心の中にいつまでもある「100万回生きたねこ」のお話です。

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目次

だれのことも好きになれないねこ

子供のわたしが「100万回生きたねこ」を読んで、内容を理解できていたわけではありません。

よくわからないのですが読んでいる間、じわーっと体が熱くなり、そのあとうぶ毛が逆立って体の熱がひいていって鳥肌が立つような感覚があり、目頭が熱くなりました。

それだけグイグイと引き込まれるように読んだ物語でした。

読んだ後は、ねこが死んでしまったから、2度と生き返らないから悲しいという気持ちとは真逆で、じんわりとあたたかい気持ちになって涙があふれそうになったので、図書室の隅っこで隠れるようにしていた記憶があります。

「男の子だから泣くな」と言われて育てられたわたしは、だれにも涙を見られたくありませんでした。

ねこは100万回死んで、100万回生きました。

ねこが死んだとき100万人の飼い主が泣いたのに、ねこは1回も泣きません。

王様も船のりも、サーカスの手品使いもどろぼうも、おばあさんも小さな女の子も、みんなねこが好きだったのに、ねこはだれのことも好きではありませんでした。

何度生きかえっても、どんな人といっしょにいても、ねこはみんなのことが嫌いで、自分のことも嫌いでした。だから、ねこは死ぬのなんか平気だったのです。

自分のことがだいすきなねこ

あるとき、ねこは だれの ねこでも ありませんでした。

のらねこだったのです。

ねこは はじめて 自分の ねこに なりました。ねこは 自分が だいすきでした。

「100万回生きたねこ」佐野洋子 作・絵 講談社刊

わたしは図書室の床に片膝をつきながらこのあたりを読んで、体に熱を帯びてくることを実感します。

ねこははじめて自分のことを好きになります。

ねこはつよくて、自信まんまんで立派なとらねこでした。

めすねこはみんな、とらねこのおよめさんになりたがり、とらねこは他のねこたちからチヤホヤされていました。

とらねこはだれよりも自分のことが好きでした。

自分よりも大切な存在

わたしの体の熱は徐々にひいていき、穏やかな気持ちで物語を読み進めます。

たった1匹だけ、とらねこに見向きもしない白くうつくしいねこがいました。

とらねこは、しろねこの気を引こうとしているうちに、しろねこといっしょにいたいと思うようになります。

とらねこは初めて自分よりも大切な存在を知ります。

しあわせなねこ

わたしは物語が終わってしまう予感と「もしかして」と想像している結末を感じて、次第に体から熱がひいていき、体中のうぶ毛が立つような、鳥肌が立つような感動とともに目頭が熱くなってきます。体の熱はひいていくのに、なぜか顔だけがものすごく熱い。

とらねことしろねこはずっといっしょにいました。

時がたったある日、おばあさんになったしろねこは死んでしまいます。

とらねこは初めて泣きました。

そして100万回泣いたあと、とらねこもしずかに動かなくなりました。

とらねこはもう生きかえることはありませんでした。

大人が「100万回生きたねこ」読んで感じたこと

自分よりも大切な存在を知り、愛し、人生をまっとうしたとらねこはしあわせだったと思います。

100万回生きかえって、ようやく自分を好きになることができ、自分よりも大切な存在を知った。

どんなに生きかえっても、飼い主も自分のことも好きになれなかったとらねこ。

でも、とらねこはしろねこと出逢い、心の底からしろねこを愛し続けて生涯を閉じ、その後は決して生きかえらなかった。

わたしは、どう生きるのが幸せなのか、自分の人生に照らし合わせて読んでいました。

大人になって大切な守るべきものができたときに読むとしみじみと感慨深いものが込み上げてきます。

わたしはとらねこのように生きたい。

とらねこは、はじめて自分の人生を生きて、自尊心高く、自己顕示欲強く

だけど、しろねこの前では、ただ素直なままの自分でいた。しろねこを愛していました。

とらねこは100万回生きかえって、自分以外の誰かを愛することを知り人生をまっとうしたのです。

すでに読まれている方が多いと思いますが、大人になって読み返しても胸に刺さる物語です。

ぜひもう一度読み返して、あなたの人生と照らし合わせてみてください。きっと、いとおしくあたたかい気持ちが込み上げてきますよ。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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